IT関係な皆さんは自分のキャリアをどのように構築しているだろうか?
忙しさに追われ、はたまた、将来の進むべき道が見えにくいIT業界かもしれないが、
普段からキャリアを意識して活動していくのは、非常に大事だというのが、個人的な意見。
キャリアプランを立てていく、一つの参考として、今回はこちらの資料を挙げてみたい。
経済産業省がまとめているCDP(Career Development Plan)の資料である。
様々なベンダーのエンジニアからのインタビューやIT人材白書のデータを基に課題(issue)を定義し、IT人材の魅力を発信する目的で公開されている。
この中で、定義された職種は以下の9つ。
- コンサルタント(CONS)
- IT アーキテクト(ITA)
- プロジェクトマネジメント(PM)
- IT スペシャリスト(ITS)
- アプリケーションスペシャリスト(APS)
- ソフトウェアデベロップメント(SWD)
- カスタマサービス(CS)
- IT サービスマネジメント(ITSM)
- エデュケーション(EDU)
良く整理された分類ではないだろうか。
ネットワークのエンジニアもこの分類であれば、ITSに入れてOKということになる。
特に、今回は自分のキャリアとも関わりの深いITアーキテクトの章に注目してみたい。
……と、その前に。
各職種の中でも、いくつかの段階(レベル)定義されている。
詳しくは本文を参照していただくとして、自分の認識したレベル感としては、こんな感じだろう。
- レベル1;とりあえず、勉強したことがある
- レベル2:先輩の指示で、ある程度の作業は可能である
- レベル3:作業の計画から実施までを独力で実施できる
- レベル4;問題解決をリードし、後進育成にも貢献している
- レベル5;企業内のトッププレーヤー
- レベル6:国内のトッププレーヤー
- レベル7:世界で通用するプレーヤー
なにか、5〜7については、えいやっと決めたような雰囲気もなきにしもあらず。
ただ、レベル4までは理解しやすい段階が定義されている。
自分のように5年目くらいになると、徐々にレベル3の段階になることが求められそうだ。
弊社の上級エンジニアも等事業へ参加しているためか、社内のレベル感ともちょうど一致しており、あまり違和感がない。
ITアーキテクトのモデルキャリアパス
インタビューの結果から共通的に導かれた特徴から、当資料では以下の特徴を謳っている。
- IT アーキテクトを目指そうと自覚すると、技術面でのリーダとしての知見を積極的に発
信することなどを通して、全体最適の視野を養い、技術の標準化・普及という指導者的
なポジションで活動する。
- レベル1〜3 の間は、最初にIT の基本技術を習得し、5 年目頃から業務を通じて対象領
域を拡大し、広い知識を獲得する。
- 10 年目頃からプロジェクト内での振る舞いをもとに、IT アーキテクトとしての役割と
責任の拡大を、本人または他人が自覚する。自身がIT アーキテクトとして活動するとと
もに、技術的・人間的に成長する。
- 15 年目頃、社内外で活躍すると、さらにIT アーキテクトとしてのスキルを研鑽できる。
これを見ると、ちょうど対象領域を拡大する時期にきている。
確かに、今まではメインフレームの基本的な構築や簡単な設計を主としていたが、昨年あたりから運用のアーキテクチャやセキュリティやアプリケーションにも手を出すようになってきた。ここ最近は要件定義でファシリテーションやステークホルダーマネージメントも意識するようになっており、確かに領域は広がってきていると感じる。
次に、スキルの獲得時期、方法、内容という章がやってくる。
内容は以下のような感じだ。
- コンピュータサイエンスやソフトウェア工学などの中核にある「原理原則」を、実践を
通じて習得することがポイントである。若い時期にそれらを体得することが、応用力・
適応力の向上につながる。などの活動期間があると、これらを習得する環境として有利である。
- 研修によって自分の担当技術領域の体系的な知識やスキルを習得するだけでなく、常日
頃からそれ以外の領域にも幅広い興味をもって情報収集し、それらを整理・分析・体系
化することによって、物事の本質や原理原則を抽出、理解・修得する。
- 知識やスキルを蓄積するだけでなく、それらを担当業務に適用したり、机上試行する「実
践」を行うことにより、利用価値の高い知識およびスキルを修得することができ、IT ア
ーキテクトの熟達度が向上する。
- 上記プロセスにより得られた、利用価値の高い知識およびスキルを、社内外へ情報発信
したり、コミュニティ活動へ積極的に参画・貢献することにより、自身のさらなる向上
を図るだけでなく、同僚や後進のレベル向上にも寄与できる。
- 次のステップが視野に入った段階で、次の段階の役割を担い始める。
最後のは当たり前だろう、と思うが、これらを読んで感じたのは、
「ITアーキテクトは欲張りでなければならない」
という感想だった。
得意なIT技術だけに飽きたらず、他の領域や、コンピューティングや情報発信までしちゃうなんていうのは、欲張り以外の何者でもない。
ITアーキテクトになるには、そんなエネルギーの有り余ったエンジニアにならないといけないということだ(違うかもしれないが)。
また面白いのは、原理・原則を理解することが重要であるということ。
これは経験があるから、非常に良く分かるのだが、一つの仕組みが成り立つ世界を理解すると、隣の世界も類推から形が得られることが非常に多い。
さらに、これを抽象化することで適用範囲を広げることができる。
抽象化やモデル化という視点はアーキテクトとしては、とても重要な要素だと感じている。
名ばかりのアーキテクトも世の中にはいるわけだが、抽象化くらいは、きちんと意識して欲しい。
他にも「ITアーキテクトの行動様式」として、非常に重要なエッセンスがまとめられている。
これはぜひ、ITアーキテクトを目指す方には一読して欲しい。
おわりに
これらのキャリアモデルを学んでみると、やはり自分がITスペシャリストではなく、ITアーキテクトに志向が合っていることを実感する(向いているかは別問題)。
このように自分の志向と、定義された職種内容や各インタビューの共感できる部分を眺めていくと、それなりに中期のキャリアプランを作成することができるのではないだろうか?
とはいえ、ITがこれだけ普及した現代に、インタビューイーのキャリアモデルが当てはまるかというのは難しい。
ヘタしたら入社したときからアーキテクトの素質を備えて活躍できる人材も、これからは出てくるかもしれないし、自動化やクラウド、テクノロジーの進歩でアーキテクトの主な役割も変わってくるかもしれない。
そうとはいえ、現状では当資料は極めて有効なプランニング用の参照資料であり、同じようにキャリアを模索するエンジニアのみなさんにも、ぜひ一読していただきたい。