さとまも談義|テクノロジーと体験とアートと

テクノロジーとビジネスと人の関係性にずっと興味があります。アートやダイバーシティのキーワードも含めて、世界がどう変わっていくか、変えていけるかをお酒を飲みつつ考えるブログ

カワイイ論

「カワイイとは領域ではなく「力」である。意味を規定する固定的な枠組みでなく、新しい意味を生成し続ける力。」
(Web Desinging Vol.127、デザインジャーナリスト 藤崎圭一郎)

僕が感じるカワイイも、共感を表す一つのコンセプトなのだと思う。
クール、という表現があるが、カワイイというのはもっと広範囲にわたる「好感を持って許容されるテイスト」のようなものではないか。
美しいやカッコイイ、というのはなんだかヒト事というか、自分の外の世界を感じさせる。ところが、カワイイはなんだか身近で、自分もそのコンセプトを共感し・理解している状態。そんな違いはきっとあるんだろう。

もともとITエンジニアな僕としては、IT業界とカワイイについて考えないわけにはいかない。
IT業界はカワイイとは一見すると対局に位置しているようにも感じる。もちろん、ゲームやwebの分野では、このカワイイもしくはクールという概念は、この上なくビジネスに影響を及ぼす要因として重要であろう。そこは理解している。
一方で、銀行の営業店端末のUI(ユーザーインタフェース)を、キュンとするようなカワユイデザインに変えてみたらどうだろうか。
……うーん、僕なら「そんなことに金使うな」と一蹴してしまう(笑)
業務効率化を目指すシステムにおいて、UIは効率的に操作ができること、間違えにくいことなどが重要な機能要件になるため、カワイイの入り込む隙間を見いだすのは正直難しい。
優れたアーキテクチャを設計・構築しても、カッコイイと思うことはあっても、カワイイと感じることはないと断言できるし。
プログラムを書く方々は、コードに愛着もしくはカワイイを感じる瞬間があるのかもしれないけども……。

いずれにせよ、IT業界とは縁遠いとしても、カワイイを感じるものって、ここ数年でずいぶんと増えてきたような気がする。
それは自分の感性アンテナが、やっとそれを感知できるようになっただけかもしれないし、時代が確かに変わってきているのかもしれい。ファッションでは昔からかもしれないが、昨今は工業デザインにおいても、カワイイデザインが優勢を誇ることが多いと感じている。なんか丸っこいものが多いですよね。洗練、という印象を与えるモノもあるが、やっぱりカワイイなんだろうなぁ。

なにはともあれ、これだけカワイイを感じ取れるようになったのも、年の功なのかな、と。価値観が広がっていく、という感覚は、なかなか新鮮で面白いものですね。